博士の愛した数式 小川洋子
ぼくは私立文系だったので、
数学とは縁のない生活を送ってきましたが、
まったく関係がなくなると
人間興味が出てくるもので、
最近では不思議な数字のマジックに
魅せられ、
いろいろな本を読んだりしています。
数学と文学とは
まさに対局にありそうな存在ですが、
小川洋子さんの精緻な文章と
純粋無垢な定理とは
とっても素敵に馴染んでいました。
”純粋無垢な定理”と書きましたが、
この小説の中には
階乗、友愛数、素数、双子素数など
たくさんの公式や定理が出てきます。
こうした数学の世界を
巧みに文脈に取り入れながら、
流れるように小説的ピークに
もって行くことができるのは、
ひとえに小川さんの文章力のなせる技
なのでしょうが、
ほんとうにお世辞抜きで
文学的に素晴らしい作品です。