木田安彦の世界 木版画「西国三十三所」ガラス絵「日本の名刹」
大胆かつ繊細、木田安彦さんの作品を見ると真っ先にそんな言葉が思い浮かびます。
そしてその画面に登場する人々はみんな穏やかであたたかい、そんな大胆さと繊細さ、そして穏やかさが同居する風景は、まるで日常を突き抜けて異世界に通じるかのような感じさえ与える圧倒的な存在感があります。
この展覧会は、私がまだ東京に出張があった時、時をおなじくして汐留のパナソニック電工ミュージアムで開催されたものでした。
近代的なビルの中にある静謐な美術館に収められた木田安彦さんの版画やガラス絵はより一層、私を非日常に誘ってくれそうな感覚がしたのを、昨日のことのように思い出します。
これらの作品群を改めて見返した時、その大胆な構図と繊細な画面構成の数々は、写真をする上で本当に多くの示唆を含んでいるのを改めて感じます。
「隅々まで神経が通ったような構図」
言ってかんたんに出来るものではありませんが、ひとつの理想の形として、いつしか実現出来るように願いながら、心に留めておきたいと思いました。
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木田安彦
1944年京都に生まれる。
1967年京都教育大学特修美術科構成専攻卒業。
1970年京都市立芸術大学美術専攻科(現大学院)デザイン専攻修了。
東行、(株)博報堂制作部に勤務。
1975年帰洛、以後版画家として作家活動に専念しつつガラス絵、板絵、水墨、油彩、陶、書と多彩に領域を拡げ続ける。
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木田安彦の世界
―木版画「西国三十三所」 ガラス絵「日本の名刹」