Daily Archives for 2010年5月16日
『沈黙』 遠藤周作
中学生の頃に読んで、
いまでもときどき読み返します。
話は徳川政権下の長崎。
島原の乱が鎮圧されて間もない頃の
キリシタン禁制の時代、
キリスト教の棄教を迫られる
ポルトガル司祭ロドリゴの目線から見た
神の存在、背教の心理を描いた
遠藤周作先生の傑作です。
激しい弾圧の前にも
あくまで沈黙を守る神。
救いを求めてどんなに祈りを捧げても、
ひたすら沈黙を守る神。
神は本当に居るのか?
もし居るのなら、
何故こんな過酷な受難の最中も
主は救いの手を差し伸べるどころか、
励ましの言葉さえかけてくれないのか?
信仰というものを通して人が自己と対話する様を
克明に、そして秀逸に描き出しています。
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