Monthly Archives for 4月 2014
暗室作業と焼き込み
フィルム時代のプリントは暗室で行われていました。
イーゼルにセットした印画紙に
ネガを透過した光を当てるわけですが、
その画像の微調整というのは、
その光を遮ったり、余分に当てたりして行われていました。
当然光がどれくらい当たったかということは
肉眼でわかるわけではありませんので、
時計などで必要な時間を計ることになります。
印画紙は感光すればするほど黒くなりますので、
まず全体の一番少ない秒数を露光し、
それから必要な部分は+αで露光していました。
なにせ目に見えないものですから、
1回で思うようなプリントが仕上がることは稀で、
何度も納得の行くまでやり直した思い出があります。
当然のことながら同じプリントは2枚となく、
オリジナルプリントの意味合いも
いまとは全く違ったものでした。
もう5年以上暗室作業はしていませんが、
あのころ試行錯誤した経験は
いまでも大事なたからものです。
写真集『さっちん』荒木経惟
この写真集『さっちん』は
アラーキーこと荒木経惟氏が
千葉大学在学中の1年間(196年ころ)に
撮影されたものをまとめたものです。
三河島という、
いまで言う東京の西日暮里のあたりの
下町に住むこども達が、
画面いっぱいにはしゃいでいるのが印象的です。
写真集を見ていると、
カメラマンであるアラーキーを
仲間のように受け入れているのが
わかります。
写真のうまい友達が撮っているかのような写真。
これは本当に
ポートレイトの真髄なのだと思うのです。
この写真集を見るたびに
あたかもカメラが無いかのように
写真を撮らなければいけない
と内省し、
あらためて写真に対する姿勢を考えさせられます。
『さっちん』荒木経惟