Category Archives for 写真集・写真関連書籍
写真集『さっちん』荒木経惟
この写真集『さっちん』は
アラーキーこと荒木経惟氏が
千葉大学在学中の1年間(196年ころ)に
撮影されたものをまとめたものです。
三河島という、
いまで言う東京の西日暮里のあたりの
下町に住むこども達が、
画面いっぱいにはしゃいでいるのが印象的です。
写真集を見ていると、
カメラマンであるアラーキーを
仲間のように受け入れているのが
わかります。
写真のうまい友達が撮っているかのような写真。
これは本当に
ポートレイトの真髄なのだと思うのです。
この写真集を見るたびに
あたかもカメラが無いかのように
写真を撮らなければいけない
と内省し、
あらためて写真に対する姿勢を考えさせられます。
『さっちん』荒木経惟
アンドレアス・グルスキー展 @国立国際美術館
アンドレアス・グルスキー展に行って来ました。
場所は大阪の国立国際美術館。
なんだかんだで年に1度は来ています。
近年雑誌などで盛んに紹介されているので
ご存知の方も多いかもしれませんが、
大判カメラでの細密な表現が特徴の作家さんです。
大判カメラのもう一つの特徴としては、
画面の圧縮があります。
例えば35mm判での焦点距離50mmの標準レンズは
8☓10だとおよそ焦点距離360mm前後にあたります。
360mmというのは
35mm判でもけっこうな望遠です。
望遠レンズの特徴は遠近感の圧縮なので、
遠景と近景がディフォルメされるように近く写るのです。
その2つの要素が渾然となって、
この濃密な写真群を生み出しているのだと思います。
はっきりいって
図録ではほとんど伝わらないのですが、
実物の写真は数メートル単位の巨大なものばかりで、
写真そのものの力に圧倒されます。
写真の大きさで写真のチカラが変わることを
この写真展で再認識しました。
みなさまもぜひ
展覧会に行ってこの写真体験をしてみてください。
※大判カメラ
主に4☓5インチや8☓10インチの大型のフィルムを使うカメラ。写真を引き伸ばすときの倍率が小さくて済むので、ディテールの再現がよい。
物の価値
ぼくは写真作家の森山大道さんが好きで、
それはそれは大好きで、
血迷って1冊2万5000円もする
4冊セット(計10万円)の
写真全集を持っているほどです。
森山さんは
60年代から日本の写真界を牽引してきた
いわばアイドル的な存在で、
今活躍している作家さんの多くが
その作風に何らかの影響を
受けているのではないかと思います。
この本は京都で学生をしていたころ、
大阪十三の立ち寄った古本屋で、
超美品の初版本であるにもかかわらず
2800円という破格で売られていた
思い出深い逸品です。
現在の市場では
10万円以上で取引されている
写真集です。
好きな人は10万、
興味が無い人は2800円。
当時学生ながら物の価値について
いろいろと考えさられました。
Light & Shadow 光と影 新装版
20th Century Photography
20世紀は写真史にとって
とっても大きな意味をもつ世紀でした。
撮影技術の進歩はもちろん、
写真という存在そのもののにおいても
多くの意義ある写真が残されました。
この本では
20世紀に足跡をのこしたたくさんの写真が
総670ページわたり紹介されています。
これから新しい写真の世界を模索していくうえでも
先人の足跡を通史的に振り返ることで得られる意味は、
けっしてちいさなことではないはずです。
20th Century Photography
TASCHEN