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「旅」第2部「異郷へ」 北島敬三展 「心の目」稲越功一の写真 東京都写真美術館
出張で東京。
セミナーは昼からだったので、
早朝に三重を出発し写真美術館へ。
運良く3つの展示を見ることが出来た。
ひとつ目は
写真美術館の収蔵作品で構成された企画展『旅』。
牛腸茂雄の美しいトーンと独特の着眼点、
アラーキーの謎めいた暗示に満ちた『センチメンタルな旅』、
内藤正敏の克明に刻まれた土着性と民族性、
森山大道の荒涼とした北の風景など
写真家それぞれの特徴的な視線の行方を楽しむことができた。
ふたつ目は北島敬三展。
氏は1975年「ワークショップ写真学校」に参加。
かの森山大道に師事しその後森山らと共に
イメージショップCAMPという自主運営ギャラリーを運営し、
そこで連続16回にわたる展示「写真特急便」で
日本写真協会新人賞を受賞する。
とにかくこの北島敬三というヒトは
ストリートスナップにかけては天下一品で
改めてその凄さを堪能。
三つ目は稲越功一『心の目』。
ぼくはこの展示を見るまで知らなかったのだが、
稲越氏は今年の2月に急逝されたとのこと。
肺がんだったが、
発覚した時点でふたつの展覧会の開催が決定しており、
関係者に迷惑をかけたくないとのご本人の意思で
病名は伏せたまま活動をされていたとのこと。
氏の詩的であり私的で、
一種幻想的な写真を
もう見ることが出来ないのかと思うと残念でならない。
様々な感情が詰まった今回の3つの写真展は
非常に心に残るいい展示であった。
『土田ヒロミのニッポン』東京都写真美術館
先日の東京出張の際、
ついでということで
東京都写真美術館に行ってきました。
開館直後ということでヒトもまばらで、
ほぼ独占状態でした。
現在の展示は、土田ヒロミ氏の
「ニッポン」展と
新進作家たちによる
「スティル アライヴ」展でした。
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土田ヒロミ氏の展示は、
様々なヒトが集う場所を記録していった
「砂を数える」がたいへん興味深く、
まさに砂のように集まった、それぞれに意思を持ち、
個性を持った人間たちを眺めていると、
なんだか空恐ろしいような気持ちになってきます。
そして、人間という存在は
いったいどこに向かおうとしているのか
ということについて考えずにはいられません。
群れというものには、
常に何かしらの
得体の知れないエネルギーのようなものを感じます。
他にも、
1986年から毎日自分の顔を定点撮影した
”Dailyセルフポートレイト”も秀逸で、
たいへんシンプルな手法ながら、
日々変化していく自分の姿を克明に捉えています。
スティル アライヴ展は、
大橋仁の展示や
最近ちょくちょくお見かけする屋代敏博の「回転回」、
伊瀬聖子、田中功起などがありました。
この中でのお気に入りは、屋代敏博の「回転回」です。
風景の中に自分を溶け込ませるというコンセプトのもと、
長時間露光をして被写体自らが回転することにより、
文字通り被写体が絵の具として風景の中に溶け込むのです。
この作品はスケール的にまだ可能性を秘めていて、
とんでもない大規模なカタチでやってみたり、
ほんとうに自然(木々)のなかで
極彩色の衣装で回転してみたりなんかすると
面白いんじゃないかとひそかに思っています。
何よりワークショップ形式で、
被写体たち自らがアートを体験できる
というスタンスがいいと思います。
その他、
なにげに地下の映像展示室は
あまり宣伝されていませんが、
毎回楽しい体験型の展示を行っていてオススメです。
土田ヒロミ・日本の新進作家vol,6-
○土田ヒロミのニッポン
会期:2007年12月15日(土)~2008年2月20日(水)
会場:東京都写真美術館(東京都) MAP
開館時間10:00~18:00(木・金のみ20:00)
月曜休館
1960年代終わりから写真家として
本格的な活動を開始した土田は、
日本の土俗的な文化、ヒロシマ、高度経済成長、
バブル経済などのテーマを通して、
変貌する日本の姿を撮り続けています。
土田の視点はつねにユニークで、
作品ごとに明確なコンセプトを持ち、
日本という国に対する問題意識を
実験的ともいえるアプローチで表現してきました。(中略)
この展覧会では
東京都写真美術館が重点的にコレクションした土田作品に加え、
最新作を含めた約140点で、
氏の作家活動の軌跡を一堂に紹介します。
混沌とした世相のなか、
土田作品は日本と自己の関係を見直す
何らかのヒントをくれることでしょう。
<東京都写真美術館HPより引用>
○日本の新進作家vol,6 スティル/アライヴ
会期:2007年12月22日~2008年2月20日(日)
会場:東京都写真美術館(東京都) MAP
開館時間10:00~18:00
月曜休館
第6回目となる本展は
「現代人の生と時間、その表現」をテーマに、
写真・映像をメディアとして制作活動を行う
30代のアーティスト4人に焦点をあてたグループ展となります。
現代生活において、
人はたえず更新される現在の速度に対応して
生きていかなければなりません。
一方で、
次第にゆっくりとしたものの価値を
見直そうとする変化も
時代の流れのなかで生まれています。(中略)
写真映像の世界での急速なデジタル化や
コミュニケーションツールの発達によって、
時間体験は今や自由自在に編集可能で、
当たり前のように反復し、
共有することができるようになりましたが、
同時にそのことが「今、ここ」に生きている感覚を
希薄にしつつあります。(中略)
本展では、作品にこめられた様々な時間意識、
時間表現と、展覧会を見る人、
そこに関わる人が過ごしている時間が交差し、
「今、ここ」に生きている感覚を
共有されることを目指します。
<東京都写真美術館HPより引用>
写真新世紀・東松照明「東京曼荼羅」
○写真新世紀東京展2007
会期:2007年11月3日(土)~25日(日)
会場:東京都写真美術館(東京都) MAP
開館時間10:00~18:00(木・金のみ20:00)
月曜休館 入場無料
HIROMIX、佐内正史、オノデラユキなど
今をときめく若手写真家を多数輩出している、
いわば写真家への登竜門てきコンペティション。
昨年のグランプリ、高木こずえ氏の個展も同時開催。
○東松照明「東京曼荼羅」
会期:2007年10月27日~12月16日(日)
会場:東京都写真美術館(東京都) MAP
開館時間10:00~18:00(木・金のみ20:00)
月曜休館 一般800円 学生600円
東松照明は1950年代から今日に至るまで、
日本の写真表現を切り開いてきた、
戦後を代表する写真家です。
本展「Tokyo曼陀羅」は、
長崎、沖縄、京都、愛知と、撮影拠点をキーワードに
個別のテーマ性や時代性を解体して再構成する
「曼陀羅」シリーズの最後に位置するものとなり、
約300点で構成されています。
(東京都写真美術館HPより引用、要約)